SFが読みたい…しかも…とびきり恋愛風味なのが……。
そんな思いで探していたら何とタニス・リーが書いていた。さっそく読んでみることに〜♪
タニス・リーと言えば、超耽美なファンタジー小説というイメージを勝手に思い描いていた香月です。海外の耽美小説自体あまり読んだことがないので今まで目に入らなかったんだな。う〜む。
評判とおり、とても読み応えのある上出来なお話でした。20年前の作品とは思えないです。
少女-ジェーン-は、ロボット-シルヴァー-と恋愛することで、自我に目覚め、母親と対立することで、自立していきます。
二人の出会い方は衝撃的で最悪と言ってもいいもの。美しいとは言い難い。でも異種恋愛の発端としては説得のいく出来事だったと思います。あっぱれタニス・リー。
この出会いの後、ジェーンが自分の心の変化を読み解きながら、半ば半狂乱になって、シルヴァーの元に辿り着く様は、とても面白くて話にどんどん引き込まれた部分ですね。
ただ日本人的価値観で考えた場合、相手が例えロボットだとしても「愛」が生じた段階で、手に入れる手段として「購買」に走ることは無いと思うのですが……なんか「罪」の意識を感じてしまう気がする。
ジェーンが母親から決別する様にもあっぱれさを感じました。しかし、この母親というのが、しっかりした人物なのですが、一方でかなり四角四面に凝り固まった感じのする方で……まるで9●9のプ●メシューム-メー●ルのママ-のよう、教養があるのにシルヴァー以上に機械っぽいんですよね。ジェーン視点で話が進んでいるからかしら。
そして、この作品の中で特に不思議というか違和感を感じまくりだったのが、ジェーンと友人との関係です。
まず、バ●のクローヴィス君…ジェーンの最も頼れる友人のようで、しょっちゅう出てきます。シルヴァーが彼女のものになるよう算段してくれたりするんですが…同時にシルヴァーと関係も持ってしまう…えっΣ(゜Д゜)
ジェーンも何となくクローヴィス君がシルヴァーに目を付けているのを知っているのですが、他に頼る人がいなくてついついクローヴィス君のところに行ってしまう…えっΣ(゜Д゜)
全く不可解な人物です、クローヴィス君。でもジェーンへの接し方には、何かしら母性的なものを感じるのよね。不思議だ。
次に自己陶酔型のエジプティア。
この子に至っては、何故ジェーンがお友達付き合いしているのか不思議でたまりません。香月がママだったら「おやめなさい」って口を出してしまいそうです(▼▼)実際、ジェーンはシルヴァーの法的所有者であるエジプティアが、シルヴァーを取り戻そうとしているのではないかとひやひやし通しです。香月には言われたくないだろうけど……本当に友達でいいの?
最後にジェーンを執拗に付きまとう双子のジェイスンとメディア。お金持ちなため、甘やかされて育ったようで、ゲーム感覚でジェーンをストーキングします。
ジェーンの生きる世界って、環境破壊が進んでいて洗浄された都市空間と汚染されたスラムがあるんですよね。この世にも奇妙な友人関係が、行き着いてしまった環境とリンクしているようで変な感じでした。
そうそう、シルヴァーです(・_・)彼とっても
便利で キュートです。ジェーンのお陰で思考回路が時々スパークしてしまう姿も可愛いです。彼が自我に目覚める瞬間ってのが、セッ●スの真っ最中であったことも特筆すべきでしょうか……ホホ(^^;)
ロボットが相手となると、その反応の全てがプログラムされたもので、誰にでも同じ反応をするのでは……という猜疑心と闘う羽目にはるのですが(いや、これは人間でも一緒か…)、最期の彼の告白はただただ愛を感じました。
というわけで、とってもお勧めな作品です。
PS:実はこのお話、2007年に続編が出ています。「
銀色の愛ふたたび」というらしいです。かなりの大どんでん返しもあるようで……賛否両論。さて、どうしたものか。
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